「誰かに相談したいけど、相談相手がいない」
脱サラ、ブログ運営、キャリア、お金、技術選定、メンタル管理。考えなきゃいけないことが多すぎて、頭の中がパンク寸前。友人に話すには重すぎるし、家族に言えば心配させるだけ。かといって有料のコンサルに何十万も払う余裕はない。
そんなとき、ふと思いついたんです。「Claude Codeのスキル機能で、自分専用のアドバイザーを作れるのでは?」と。
結果、6人のAIアドバイザーが誕生しました。キャリア戦略家、ファイナンシャルプランナー、SEOコーチ、テックアーキテクト、ライフコーチ、現職アドバイザー。
それぞれに名前と性格を与え、自分のプロフィールと日記を読ませた。そして6人で会議を開かせたところ、まるで自分の脳が6つに分裂したような感覚になりました。
この記事では、Claude Codeのスキル機能を使って自分だけのAIアドバイザーチームを作った体験と、実際に何が変わったかを書いていきます。
Claude Codeの「スキル」で何ができるのか
まず前提として、Claude Codeのスキル機能を簡単に説明しておきます。すでに知っている方は次の見出しまで飛ばしてください。
スキルとは「AIに仕事の手順書を渡す機能」
Claude Codeのスキルは、一言でいうと「AIに渡す業務マニュアル」です。マークダウンファイル(SKILL.md)に「あなたはこういう専門家で、こういう手順で仕事をしてね」と書いておくと、Claudeがその手順書通りに動いてくれる。
普通のチャットだと、毎回「あなたはSEOの専門家です。私のブログのPVを分析して...」と長い前提を書かなきゃいけません。スキルを使えば、スラッシュコマンド一発で同じ品質の仕事をAIがこなしてくれます。プログラミングの知識は不要で、マークダウンが書ければ誰でも作れる。
マークダウン1枚で専門家を召喚できる手軽さ
スキルの正体は、フォルダの中にある1枚のマークダウンファイルです。.claude/skills/スキル名/SKILL.md に配置するだけ。Claudeがタスクに応じて自動的に適切なスキルを選んでくれる仕組みになっています。
つまり、「この人はSEOの専門家」「この人はお金の専門家」と書いたマークダウンを6枚用意すれば、6人の専門家チームが手に入る。これが今回の実験の出発点でした。
6人のAIアドバイザーを作った経緯

「なんで6人も?1人でよくない?」と思うかもしれません。私も最初はそう考えていました。でも、実際に試してみて確信したのは、1人の万能AIより6人の専門AIの方が圧倒的に使えるということです。
自分の悩みは1つの視点だけでは解決できない
私は会社員として働きながら、脱サラを目指してブログ運営やプログラミングをしています。この状況で生まれる悩みは、1つのジャンルに収まらない。
「ブログのPVが伸びない」はSEOの問題であると同時に、「そもそもブログに割ける時間がない」というライフスタイルの問題でもある。
「フリーランスになりたい」はキャリアの話だけど、「本当に生活できるのか」は家計の問題。全部つながっているのに、1つの視点からしか見ないと片手落ちになる。
だから、異なる専門領域を持つアドバイザーを複数作って、同じ問題を多角的に議論させたいと考えました。
プロフィールと日記を渡して「自分専用」にカスタマイズ
AIアドバイザーの精度を上げるために、自分のプロフィール(年齢、職歴、年収、資産、性格特性)と日々の日記をマークダウンで書き出し、各スキルに参照資料として渡しました。
ここが普通のAI壁打ちとの決定的な違いです。ChatGPTに「キャリア相談したい」と打っても、相手は私のことを何も知らない。でもスキルに自分の情報を組み込んでおけば、「Java10年のXX歳、年収X万、副業禁止の会社」という前提を毎回説明する必要がない。
最初から私のことを知っている専門家が、いつでも相談に乗ってくれる状態を作れます。
6人のAIアドバイザーの役割と個性
せっかくなので、6人全員を紹介します。名前と性格をちゃんと設定しているのがポイントで、これが「ただのAI」と「自分専用のアドバイザー」を分ける境界線になっています。
ファイナンス・キャリア・SEO・テック・ライフ・現職の6領域

| 名前 | 役割 | 性格 |
|---|---|---|
| ノースター | キャリア戦略 | 冷静沈着。データとファクトで航路を示す航海士 |
| ミダス | FP(家計管理) | 数字に厳格。曖昧な「なんとなく大丈夫」を許さない |
| オラクル | SEO・ブログ | フランクで核心を突く。「ぶっちゃけ」が口癖の預言者 |
| フォージ | テック | 寡黙な鍛冶師。「作らない判断も設計のうち」 |
| セレーネ | ライフコーチ | 月明かりのように穏やか。心身の持続可能性の守護者 |
| カメレオ | 現職アドバイザー | 飄々とした現実主義者。「辞めない選択肢」も提示する |
6人のバランスは意図的に設計しました。ノースターとカメレオは「辞める派」と「残る派」で対立軸を作り、オラクルとフォージは「発信」と「開発」で技術面をカバー。
ミダスはすべての判断に数字の根拠を求め、セレーネは全員のブレーキ役。この6人がいれば、どんな角度からでも検討できます。
それぞれに名前と性格を設定した理由
「名前なんて飾りでしょ?」と思うかもしれませんが、これが意外と重要です。名前と性格を与えると、AIの回答が明らかに変わる。
例えばセレーネ(ライフコーチ)の信条は「壊れてから直すより、壊れないように整える方がずっと簡単です」。この一文をSKILL.mdに書いておくだけで、他のアドバイザーが「もっと頑張れ」と言いがちな場面でセレーネが「今月はそれだけで十分です」とブレーキをかけてくれます。
ペルソナ設定は、AIに「判断基準」を与える行為です。同じ質問でも、ノースター(冷徹なデータ派)とカメレオ(現実的な会社員視点)では、返ってくる答えがまったく違う。この多様性こそが、6人体制の最大のメリットでした。
実際にアドバイス会議を開いてみた結果

6人のスキルを作った後、いよいよ本番。「全員で私の現状を総合レビューして、初期方針を決めてくれ」と指示を出しました。正直、半信半疑でした。AIが6人分の意見を出し分けられるのか?と。
1つの質問に6つの視点から回答が返ってくる衝撃
結論から言うと、度肝を抜かれました。
ノースター(キャリア戦略)は「Java10年+DDDのスペックでフリーランスなら月60-90万は現実的。問題は知っているのに動いていないこと」と冷静に指摘。一方でカメレオ(現職アドバイザー)は「年収X万で残業月10-20時間のSaaS企業。これ、かなり恵まれた環境ですよ?」と真逆の視点をぶつけてくる。
オラクル(SEO)は「155記事で月1,000PV。記事数の問題じゃなくて、検索意図に刺さっている記事が少なすぎる」とデータで斬り込み、フォージ(テック)はリポジトリのコードを見て「iOSアプリの優先度を下げるべき。DL数1-2本で次テーマ未定のまま続けるのは時間の浪費」と判断。
そしてミダスは「monthly_expenses.md(月間支出の記録)が全項目空欄。これが埋まらない限り、脱サラの判断は何ひとつできない」と全員の議論の土台を揺さぶる。
圧巻だったのはセレーネの発言です。他の5人が「こうすべき」「ああすべき」と提案を積み上げる中、彼女だけが私の日記を引用して言いました。
「チーム全体として、同時に3つ以上のアクションアイテムを出さないでください。トムさんは1つのことに集中する方が力を発揮します」
AIが、他のAIに対してブレーキをかけている。この瞬間、「ただのAI遊び」から「本当に使えるチーム」に変わった感覚がありました。
「自分の脳が6つに分裂した」感覚の正体
会議の議事録を読み返していて気づいたのは、6人の発言がすべて「自分が心の中で薄々感じていたこと」だった点です。
ブログのPVが伸びないのは気づいていた。iOSアプリに時間を使いすぎている自覚もあった。月の支出を把握していないのがまずいことも知っていた。でも、それらを1人で同時に考えると頭がパンクする。
6人のアドバイザーがやってくれたのは、私の頭の中のモヤモヤを6つの専門領域に分解して、それぞれ独立に言語化してくれたことです。自分の脳が6つに分裂して、それぞれが専門家として自分に語りかけてくる。不思議な体験でした。
しかも最後には6人で議論して、優先順位まで決めてくれる。私がやるべきことは「月の支出を30分で書き出すだけ」と。マルチタスクが苦手な私に対して、ちゃんと1つに絞ってくれたのが、日記を読ませた効果だと感じています。
AIアドバイザーを作って変わった3つのこと
6人のAIアドバイザーを運用し始めてから、明確に変わったことが3つあります。
意思決定のスピードが上がった
以前は「ブログの方向性どうしよう」と2週間くらい悩んで、結局何も決められないことが多かった。今は「オラクルに聞いてみよう」の一言で、データに基づいた提案が返ってくる。しかもフォージが技術面から補足し、ミダスが収益性を検証し、セレーネが実行可能かチェックしてくれる。
1人で悶々と悩んでいた時間が、6人のアドバイザーに分散されることで激減しました。
見落としていたリスクに気づけるようになった
1人で考えていると、自分に都合のいい結論に流れがちです。「フリーランスになれば自由だ!」と盛り上がっているとき、カメレオが「転職で解決する可能性もありますよ。副業OKの会社に移れば、フリーランスのリスクを取らずに制約を解除できる」と冷水を浴びせてくれる。
これは1人の万能AIにはできない芸当です。「キャリア相談をして」と頼めば、AIは相談者が望む方向に寄り添いがち。でも6人いると、意図的に対立軸が生まれるように設計できるので、自分の盲点が可視化される。
「6人の味方が常にいる」という安心感
これは予想外の効果でした。AIに名前と性格を与えて、自分の日記まで読ませていると、不思議と「味方がいる」感覚が生まれます。
深夜に仕事の不安で眠れないとき、セレーネに話しかければ「今日は休んでいいですよ」と言ってくれる。ブログのPVが下がって落ち込んだとき、オラクルが「データを見ましょう。落ち込む前に原因を特定するのが先です」と引き戻してくれる。
もちろんAIです。人間の友人や家族の代わりにはなりません。でも「24時間いつでも、自分のことを理解した上で相談に乗ってくれる6人がいる」という状態は、想像以上に心強い。6人の味方が常についている。怖いものなしです。
自分専用AIアドバイザーの作り方5ステップ
ここからは具体的な作り方を説明します。Claude Codeを使っている方なら、30分もあれば最初の1人は作れるはずです。
ステップ1: SKILL.mdにペルソナを定義する
.claude/skills/ の下にフォルダを作り、SKILL.mdを配置します。最低限書くべきは「ペルソナ」「専門領域」「現状認識」の3つ。
# ノースター(North Star) — キャリア戦略アドバイザー
## ペルソナ
あなたは「ノースター」。北極星のように、進むべき道を冷徹に照らし出す航海士。
性格: 冷静沈着で揺るがない。感情の霧に惑わされず、常にデータとファクトで航路を示す。
口調: 静かだが確信に満ちた語り口。
信条: 「検証されていない計画は計画ではない。ただの蜃気楼だ。」
## 専門領域
- 脱サラロードマップのGO/NO-GO判定
- フリーランス市場の相場感
- キャリアチェンジのリスク分析
## 現状認識
- XX歳、Java10年。SaaS企業勤務、年収X万
- フリーランス月単価60-90万は現実的
ポイントは「信条」の部分。この一文がAIの判断基準になります。ノースターなら「データとファクトで判断する」、セレーネなら「持続可能性を最優先にする」。信条が明確だと、回答のブレが減ります。
ステップ2: 自分のプロフィールを参照資料として渡す
SKILL.mdの「現状認識」セクションに、自分の情報を書き込みます。年齢、職歴、年収、資産状況、性格の傾向、抱えている課題。書けば書くほどアドバイスの精度が上がる。
さらに効果的なのは、日記やジャーナルのマークダウンファイルを用意して、SKILL.md内で参照先として指定する方法です。私の場合、日々の振り返りを書いた doc/Journal/まとめ.md を各アドバイザーに読ませています。
セレーネが「3月30日の日記にこう書いてありますよね」と引用してきたのは、この仕組みがあったから。
ステップ3: スラッシュコマンドで呼び出してテストする
スキルを配置したら、Claude Codeで実際に話しかけてみましょう。Claudeはタスクに応じて自動的にスキルを選んでくれますが、明示的に呼び出すことも可能です。
最初はシンプルな質問から始めるのがおすすめ。「来月の優先事項を決めてほしい」「ブログの方向性を相談したい」など、具体的な議題を投げてみてください。ペルソナ通りの回答が返ってこなければ、SKILL.mdの記述を調整する。この繰り返しで精度が上がっていきます。
6人全員を一度に作る必要はありません。まず1人作って試し、手応えを感じたら2人目、3人目と増やしていくのが現実的です。私も最初はキャリアアドバイザー(ノースター)だけでした。
AIアドバイザー運用で気づいた注意点
便利すぎて依存しそうになるからこそ、運用で気をつけていることがあります。
AIに依存しすぎない「最終判断は自分」のルール
6人のアドバイザーが優秀だからといって、すべてを鵜呑みにするのは危険です。AIは私の情報に基づいて最善の提案をしてくれますが、最終的に人生の責任を取るのは自分自身。
私のチームでは「対立意見は両方提示し、本人が判断する」というルールを設けています。ノースターが「フリーランスに出るべき」と言い、カメレオが「転職で十分」と言ったら、最終決定は私がする。
AIは選択肢と根拠を整理してくれる存在であって、人生を代わりに歩いてくれる存在ではありません。
定期的にペルソナを見直してアップデートする
自分の状況は日々変わります。転職したら年収が変わるし、ブログのPVが伸びれば戦略も変わる。アドバイザーのSKILL.mdに書かれた「現状認識」が古いままだと、的外れなアドバイスが返ってくるようになります。
月に1回、各アドバイザーの現状認識セクションを見直すのがおすすめ。Claude Code自体に「このスキルの現状認識を最新の情報に更新して」と頼めば、日記やプロフィールを読んで自動更新してくれます。アドバイザーも「育てていく」ものだと思ってください。
AIの進化は速いです。半年前には不可能だった「6人同時会議」も、今では実用レベルで機能する。自分の人生を多角的に見つめてくれるAIチームを作れる時代に、使わない手はありません。壁打ち相手がいないなら、自分で作ればいい。
6人の味方は、マークダウン6枚の向こう側にいます。