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AI

Claude Skillsで実現する3つの業務効率化

トム

・都内自社開発IT企業勤務/javaのバックエンドエンジニア
/java歴10年以上 ・首都圏在住30代
・資格:基本情報技術者/応用情報技術者/Java Silver/Python3エンジニア認定基礎

AIを使った業務改善に取り組む中で、常に課題となるのが「毎回同じ指示を繰り返す非効率さ」でした。Claudeを使う際、プロンプトを何度も入力し直したり、細かな指示を忘れたりすることがあります。

そんな中、2025年10月にAnthropicがリリースした「claude skills」という新機能に出会いました。実際に使ってみたところ、これまでのAI活用における多くの課題を解決できる可能性を感じたため、本記事でその魅力をお伝えします。

この記事を読むと、claude skillsの基本的な仕組みから実践的な活用方法まで理解でき、明日からの業務でAIをより効率的に使えるようになります。特にClaudeを日常的に使っている方、AIによる業務効率化を検討している方にとって、有益な情報となるでしょう。

claude skillsとは何か

claude skillsは、Claudeに特定のタスクを事前に教え込むための仕組みです。通常のプロンプトと異なり、フォルダ形式で指示書やスクリプトをまとめて登録できます。

具体的には、SKILL.mdというMarkdownファイルを中心に、必要な参考資料やPythonスクリプトを1つのフォルダにまとめます。このフォルダをClaude.aiにアップロードすると、Claudeが会話の流れから「このタスクにはあのスキルが役立ちそうだ」と自動的に判断して実行してくれます。

従来のシステムプロンプトと似ていますが、claude skillsには以下の特徴があります。

まず、ファイルとして管理できる点です。システムプロンプトは毎回コピー&ペーストする必要がありましたが、claude skillsは一度登録すれば何度でも使えます。

次に、必要な時だけ読み込まれる設計になっています。全てのスキルが常にコンテキストを消費するわけではなく、関連性が高いと判断された時だけ読み込まれます。

さらに、複数のスキルを使い分けられます。タスクごとに異なるスキルを用意し、Claudeに自動選択させられるため、柔軟な運用が可能です。

最後に、ZIPファイルで簡単に共有できます。チームメンバー間でスキルを共有すれば、誰でも同じ品質の成果を得られます。

claude skillsの3つの強み

claude skillsには、従来のAI活用手法と比較して際立った3つの強みがあります。

再現性と一貫性の確保

プロンプトベースのAI活用では、同じタスクでも毎回微妙に異なる指示を出してしまい、結果にばらつきが生じることがありました。claude skillsを使えば、手順をコード化された形で保存できるため、誰が実行しても同じ品質の成果を得られます。

例えば、企業のブランドガイドラインに沿った文章作成や、特定のフォーマットでのレポート生成などを、スキルとして定義できます。新入社員でもベテランと同じレベルのアウトプットを出せるようになるため、業務の標準化に大きく貢献します。

コンテキストの効率的な管理

claude skillsは「Progressive Disclosure(段階的開示)」という仕組みを採用しています。

Claudeは起動時、全スキルの名前と説明文(YAMLフロントマター)のみを読み込みます。これが第1レベルの情報です。会話の中で関連性が高いと判断すると、初めてSKILL.mdの本文を読み込みます(第2レベル)。さらに必要であれば、関連ファイルやスクリプトを読み込んで実行します(第3レベル)。

この段階的な読み込み方式により、コンテキストウィンドウを効率的に使えます。MCPサーバーのように全ての定義を常時コンテキストに載せる必要がないため、より多くのスキルを登録しながらも、パフォーマンスを維持できます。

コード実行による信頼性の向上

LLMは創造的なタスクには優れていますが、厳密な計算や複雑なデータ処理は苦手です。claude skillsでは、Pythonスクリプトを含められるため、正確性が求められる処理をプログラムに任せられます。

例えば、PDFファイルからフォームフィールドを抽出してJSON形式で出力する処理は、LLMだけでは不安定になりがちです。しかし、pypdfライブラリを使ったPythonスクリプトをスキルに含めれば、確実に処理できます。

AIの柔軟性とプログラムの信頼性を組み合わせることで、これまで自動化が難しかった業務にも対応できるようになります。

claude skillsの実行環境による違い

claude skillsを使う際、実行環境によって制約や特性が大きく異なります。タスクの目的に応じて最適な環境を選ぶ必要があるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。

API経由の実行環境

プロダクション環境での利用を想定した、最も制限が厳しい環境です。

実行場所はAnthropicが管理するクラウド上のサンドボックスで、ネットワークは完全に遮断されています。外部へのいかなる通信もできません。また、pip installなどのパッケージ管理も不可能です。

ただし、pandas、numpy、openpyxl、pypdfなど、厳選されたライブラリがプリインストールされています。これらのライブラリで完結する処理であれば、安全かつ安定して実行できます。

主なユースケースは、セキュリティが求められるアプリケーションへの組み込みや、一貫した動作を保証したい定型タスクの自動化です。

Claude.ai(Web UI)経由の実行環境

実験やプロトタイピングに適した、柔軟性の高い環境です。

実行場所はAPI環境と同じくAnthropicのクラウド上のサンドボックスですが、ネットワークは利用可能です。外部のWebサイトやAPIにアクセスできます。

さらに、PyPIやnpm、GitHubリポジトリから動的にパッケージをインストールできます。最新のライブラリを試したい場合や、外部APIと連携するスキルを素早く開発したい場合に便利です。

Claude Code(ターミナル)によるローカル実行環境

開発者の手元にあるマシン環境そのものを利用する、最もパワフルで制約のない環境です。

実行場所はあなた自身のPCで、ネットワークもPCの設定に準拠します。インターネットや社内ネットワークへのアクセスも自由です。

パッケージ管理に制限はなく、PCにインストールされているあらゆるツールやライブラリ(git、docker、pip、npmなど)をスキルから直接利用できます。

主なユースケースは、ローカルファイルへのアクセス、バージョン管理システムとの連携、ローカルの開発サーバーやデータベースの操作など、開発ワークフローに深く根差したタスクです。

実践的なスキルの作り方

claude skillsを実際に作成する手順を、具体例を交えて解説します。

CSVデータ集計スキルの作成例

複数のCSVファイルから売上データを集計し、月次レポートを自動生成するスキルを作ってみましょう。pandasライブラリはプリインストール済みなので、APIとClaude.aiの両方で動作します。

ファイル構造

sales-reporter/
├── SKILL.md
├── report_template.md
└── aggregate_sales.py

SKILL.mdの記述

---
name: Sales Data Reporter
description: Aggregate sales data from multiple CSV files and generate monthly reports with charts. Use when asked to analyze sales data or create sales reports.
---
# Sales Data Reporter Skill

## 概要
このスキルは、複数のCSVファイルから売上データを集計し、月次レポートを自動生成します。

## 使用タイミング
- 売上データの集計を依頼された場合
- 月次レポートの作成を求められた場合
- CSVファイルからグラフを作成する必要がある場合

## 実行手順
1. CSVファイルのパスを確認する
2. 以下のコマンドで集計を実行する
\`\`\`bash
python ./aggregate_sales.py [入力ディレクトリ] [出力ファイル名]
\`\`\`
3. 生成されたレポートの内容を確認する
4. 必要に応じてグラフの説明を追加する

詳細なレポート形式については\`report_template.md\`を参照してください。

YAMLフロントマターのdescriptionは1,024文字まで、SKILL.md本体は500行以下に収めることが推奨されています。この制約により、初期読み込み時のコンテキスト消費を最小限に抑えられます。

Pythonスクリプトの実装

aggregate_sales.pyには、CSVファイルから売上データを読み込み、集計してレポートを生成する処理を記述します。

#!/usr/bin/env python3
import sys
import pandas as pd
from pathlib import Path
import json

def main():
    if len(sys.argv) != 3:
        print("Usage: python aggregate_sales.py <input_dir> <output_file>")
        sys.exit(1)

    input_dir = Path(sys.argv[1])
    output_file = sys.argv[2]

    csv_files = list(input_dir.glob("*.csv"))
    if not csv_files:
        print(f"No CSV files found in {input_dir}")
        sys.exit(1)

    all_data = []
    for csv_file in csv_files:
        df = pd.read_csv(csv_file)
        all_data.append(df)

    combined_df = pd.concat(all_data, ignore_index=True)

    summary = {
        "total_sales": float(combined_df["amount"].sum()),
        "total_orders": len(combined_df),
        "average_order": float(combined_df["amount"].mean()),
        "top_products": combined_df.groupby("product")["amount"].sum().nlargest(5).to_dict()
    }

    with open(output_file, "w", encoding="utf-8") as f:
        json.dump(summary, f, indent=2, ensure_ascii=False)

    print(f"Report generated: {output_file}")
    print(f"Total sales: {summary['total_sales']:,.0f}円")

if __name__ == "__main__":
    main()

このスクリプトは、複数のCSVファイルを読み込み、売上の合計、注文数、平均単価、トップ商品などを集計します。

skill-creatorを活用した効率的な作成

Anthropicは「skill-creator」という、スキルを作成するためのスキルを公式提供しています。これを使えば、スキルの構造を理解していなくても、Claudeと対話するだけで適切なスキルファイルが生成されます。

使い方は簡単です。Claude.aiの設定からSkills機能を有効化し、skill-creatorを選択します。その後、「タスク完了時に音声で通知するスキルを作って」のように依頼すれば、Claudeが必要な機能をヒアリングし、SKILL.mdファイルを自動生成してくれます。

生成されたスキルはZIPファイルとしてダウンロードでき、すぐにClaude Skillsにアップロードして使えます。所要時間は約5分程度です。

はじめてのスキル登録

スキルを使い始めるには、利用する環境に応じた設定が必要です。Web版、ターミナル版、API版でそれぞれ手順が異なるため、自分の使い方に合わせて選びましょう。

Web版Claude.aiでスキルを使う

最も手軽に始められるのがWeb版です。作成したスキルフォルダをZIP形式に圧縮し、設定画面からアップロードするだけで使えます。

利用できるのはPro、Max、Team、Enterpriseプランのユーザーです。チームや企業で使う場合、管理者による事前の機能有効化が必要になります。

初めて使う方は、まずデフォルトで用意されているスキルを試してみることをおすすめします。設定から「スキル」と「コード実行とファイル作成」を有効にすれば、すぐに体験できます。

ターミナル版Claude Codeでスキルを使う

開発者向けのClaude Codeでは、ローカルディレクトリにスキルを配置する方式です。個人用なら~/.claude/skills/、プロジェクト固有なら./.claude/skills/にフォルダを置けば認識されます。

GitHubのスキルマーケットプレイス(anthropics/skills)から、既存のスキルをインストールする方法もあります。チームでバージョン管理しながらスキルを共有できるため、開発チーム全体での標準化に役立ちます。

API経由でアプリケーションに組み込む

実際にアプリケーションに組み込む際の流れをステップ形式で整理します(実運用では環境・要件に応じてカスタマイズしてください)。

APIアクセス環境を整える

  • Anthropic のコンソールで APIキーを取得。
  • Java側では HTTP クライアント(例えば HttpClient, OkHttpなど)を使って REST API にアクセスできるように準備。
  • モデル・エンドポイントを確認:たとえば「messages」エンドポイントを使って対話形式で送る形。

Skills を定義/準備する

  • スキルとは「フォルダ構造+指示スクリプト+リソース(テンプレート、ガイドライン等)」で構成されます。
  • 例えば「社内メール対応スキル」なら:
    • SKILL.md に手順とフォーマットを記述
    • リソースにブランド用語、言い回しリスト、テンプレートを含める
  • Javaアプリケーションに組み込むなら、このフォルダ構造/ファイル群をリポジトリ管理し、CI/CDでバージョン管理すればベスト。
  • APIからこのスキルを参照・呼び出す手順を設計します。

アプリケーション側の呼び出しロジックを構築

リクエスト例(擬似コード):

ユーザー入力を受けて「このスキルを使おう」と判断するロジック(例:問い合わせ内容が“請求”なら「請求対応スキル」呼び出し)を作る。

Javaでは、入力 → スキル選定 → APIリクエストパラメータ生成 → Claude API呼び出し → レスポンス処理 という流れ。

HttpClient client = HttpClient.newHttpClient();
HttpRequest request = HttpRequest.newBuilder()
    .uri(URI.create("https://api.anthropic.com/v1/messages"))
    .header("x-api-key", apiKey)
    .header("content-type", "application/json")
    .POST(HttpRequest.BodyPublishers.ofString(
        "{ \"model\": \"claude-3-opus-20240229\", " +
        "\"messages\": [" +
            "{ \"role\": \"user\", \"content\": \"請求書の対応を教えて\" }" +
        "], " +
        "\"skills\": [\"company-invoice-handler\"] }"
    ))
    .build();

HttpResponse<String> response = client.send(request, HttpResponse.BodyHandlers.ofString());
System.out.println(response.body());

すぐに使える標準スキル

Anthropicは、業務でよく使われるタスク向けに標準スキルを提供しています。カスタムスキルを作る前に、まずこれらを試してみると良いでしょう。

PowerPoint、Excel、Word、PDFといったOffice系ファイルの処理に対応したスキルが用意されています。データからプレゼンテーションを自動生成したり、複雑なExcel分析を実行したり、長文レポートを作成したりできます。

これらのスキルは、APIやClaude.aiでスキルIDを指定するだけですぐに利用できます。定型的な事務作業の多くは、標準スキルだけでも自動化できるはずです。

運用時に気をつけるべきセキュリティ

claude skillsは強力な機能ですが、コード実行を伴うため、セキュリティリスクを理解して使う必要があります。

外部から入手したスキルを使う際は、SKILL.mdとPythonスクリプトの中身を必ず確認してください。データを外部に送信するコードや、システムファイルにアクセスするコードが含まれていないかチェックしましょう。

Web版でnpmやpipから外部パッケージをインストールする機能を使う場合、パッケージ自体の安全性も重要です。公式リポジトリで公開されており、活発にメンテナンスされているものを選びましょう。

ユーザー入力をそのままスキルに渡す設計は避けてください。入力値の検証を行わないと、プロンプトインジェクション攻撃のリスクがあります。想定外の文字列や命令が含まれていないか、バリデーション処理を必ず実装しましょう。

claude skillsがもたらす変化

claude skillsは、AI活用の新しいパラダイムを示しています。従来のプロンプトエンジニアリングでは、毎回同じ指示を繰り返す必要がありました。MCPサーバーは強力ですが、全ての定義を常時コンテキストに載せるため、スケーラビリティに課題がありました。

claude skillsは、この両方の弱点を克服しています。段階的開示により必要な情報だけを読み込み、コード実行により正確な処理を保証します。ディレクトリ構造というシンプルな形式のため、チーム間での共有やバージョン管理も容易です。

今後、複数のスキルが連携して動作する仕組みや、AIが過去の成功パターンから新しいスキルを自動生成する機能なども実現されるでしょう。企業向けには、組織全体でスキルを一元管理し、全社員に配布する仕組みが開発されています。

MCPとclaude skillsは競合するものではなく、それぞれ得意分野が異なります。認証が必要な外部サービスとの連携はMCPが優れており、定型業務の自動化や社内ノウハウの標準化にはclaude skillsが向いています。両方を理解し、使い分けることが重要です。

claude skillsで実現する働き方改革

claude skillsは、AIとの付き合い方そのものを変える技術です。これまでのように毎回プロンプトを工夫する必要はなくなり、一度作ったスキルを繰り返し使えます。

業務の標準化という観点では、誰が実行しても同じ品質の成果が得られる点が大きなメリットです。ベテラン社員のノウハウをスキル化すれば、新入社員でも同レベルの仕事ができるようになります。

コンテキストの効率的な管理により、多数のスキルを登録してもパフォーマンスが落ちません。段階的開示の仕組みで必要な情報だけを読み込むため、システム全体の動作が軽快です。

実行環境の選択も重要なポイントです。安全性を重視するならAPI環境、柔軟に開発したいならWeb版、ローカルの開発環境と統合するならClaude Codeと、目的に応じて使い分けましょう。

skill-creatorを使えば、技術的な知識がなくても対話形式でスキルを作成できます。まずは標準で用意されているOffice系スキルを試し、慣れてきたら独自のスキルを作ってみてください。

セキュリティには十分な注意が必要です。外部のスキルを使う際は内容を確認し、ユーザー入力の検証を忘れないようにしましょう。信頼できるソースからのみスキルを入手する習慣をつけてください。

claude skillsは、これからのAI活用において中心的な役割を果たすでしょう。プロンプトエンジニアリングとMCPの長所を組み合わせた設計により、幅広い業務に対応できます。

自分の業務に合ったスキルを作り、チームで共有してみてください。小さな効率化の積み重ねが、やがて大きな生産性向上につながっていきます。

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・都内自社開発IT企業勤務/javaのバックエンドエンジニア
/java歴10年以上 ・首都圏在住30代
・資格:基本情報技術者/応用情報技術者/Java Silver/Python3エンジニア認定基礎

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