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Java入門

Javaエディション3つの違いとは?SE/EE/MEを初心者向けに解説

トム

・都内自社開発IT企業勤務/javaのバックエンドエンジニア
/java歴10年以上 ・首都圏在住30代
・資格:基本情報技術者/応用情報技術者/Java Silver/Python3エンジニア認定基礎

こんにちは、現役でJavaを使ったシステム開発に10年以上たずさわっているプログラマー兼ブロガーです。

私がJavaの学習を始めたころ、「Java SE」「Java EE」といった複数の「エディション」が存在することにとても混乱しました。「どちらを学べば良いのだろう?」と、書店で技術書を前に悩んだ経験があります。

この記事は、当時の私と同じように、Javaのエディションについて知りたい方、特に「Javaを学びたいけれど、どのエディションから始めれば良いかわからない」というJava初心者の方に向けて書いています。

Javaの主要な3つのエディション (SE, EE, ME) の違い、それぞれの用途、そして今学ぶべきエディションはどれなのかを、できるだけ分かりやすく解説します。

この記事を読み終えれば、ご自身の目的に合ったJavaエディションが明確になり、Java学習のスタートラインに迷わず立てるようになるはずです。

Javaのエディションとは?

そもそも「エディション」とは何を意味するのか

Javaのエディション とは、簡単に言えば「種類」や「版」のことです。

ソフトウェアの世界では、特定の使う場面や機能のちがいに合わせて、中身を調整したパッケージのことを「エディション」と呼ぶことがよくあります。

例えば、OSのWindowsに「Home」や「Pro」があるように、利用する人や目的に合わせて機能が追加されていたり、逆に機能が制限されていたりします。Javaにおけるエディションも、これと似たようなものだとイメージしてください。

なぜ複数のエディションが存在するのか

Javaには、なぜ複数のエディションが存在するのでしょうか。

それは、Javaが「あらゆる環境で、ひとつのプログラムが動くこと」を目指して作られたプログラミング言語だからです。この設計思想のおかげで、Javaは非常に多くの場所で使われるようになりました。

たとえば、個人のパソコンで動く小さなツールから、世界中の銀行が利用するような巨大なシステム、さらには小さな家電製品の中にまでJavaは使われています。

これだけ多様な環境で使われるようになると、ひとつのJavaですべてをまかなうのは難しくなります。

小さな家電製品に、巨大なシステムを作るための機能をすべて詰め込むのはムダが多いですし、逆にパソコン用の基本機能だけでは、大規模なWebシステムを作るのはとても大変です。

そこで、開発する対象に合わせて、Javaの機能を「パッケージ化」する必要が生まれました。その結果、Javaは主な3つのエディションに分けられることになったのです。

Javaの主な3つのエディション

Javaには、大きく分けて「Java SE」「Java EE」「Java ME」という3つのエディションがあります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

Java SE(Standard Edition)とは?

Java SE (Standard Edition) は、Javaの「標準版」であり、すべてのJava技術の中心となる最も基本的なエディションです。

私たちが一般的に「Javaを学ぶ」と言うとき、多くの場合、このJavaSEを学ぶことを指します。

Java SEには、プログラミング言語としてのJavaの基本的な文法、データをあつかうための基本的な機能 (API ※後述します)、そしてJavaプログラムを実行するための土台となる「Java仮想マシン (JVM)」など、Javaプログラミングに必要な中核機能がすべて含まれています。

主に、WindowsやMac、Linuxといったパソコン上で動作する「デスクトップアプリケーション」の開発に使われます。また、後述するJava EEやJava MEも、このJava SEを土台にして作られています。まさにJavaの「核」となるエディションです。

Java EE(Enterprise Edition)とは?

Java EE (Enterprise Edition) は、大規模な企業(エンタープライズ)向けシステムや、Webアプリケーションを開発するためのエディションです。

Java SEのすべての機能を含んだうえで、さらにWebシステム開発に特化した高度な機能(API)が大量に追加されています。

たとえば、Webサイトの裏側で動くサーバサイドのプログラム (サーブレット、JSP) や、データベースとのやり取りを効率化する機能、複数の処理を安全に実行する機能 (トランザクション管理) などです。

AmazonのようなEコマースサイトや、銀行のオンラインバンキングシステムなど、多くの人が同時にアクセスし、複雑な処理を行う必要があるWebサービスの開発に利用されます。

なお、JavaEEは後でくわしく説明しますが、現在は「Jakarta EE」という名前に変わって開発が続けられています。

Java ME(Micro Edition)とは?

Java ME (Micro Edition) は、小さな機器や組み込みシステム向けのエディションです。

「Micro(マイクロ)」という名前の通り、CPUの性能やメモリの容量が非常に限られている環境でJavaを動かすために開発されました。

Java SEから機能を大幅にけずり、必要最小限の機能だけにしぼった「軽量版」のJavaです。

かつては、スマートフォンが登場する前の携帯電話(いわゆるガラケー)のゲームやアプリ開発で広く使われていました。当時はJavaMEで動くアプリが主流でした。

現在では、その役目はスマートフォンアプリ(AndroidやiOS)に取って代わられました。しかし、IoT機器やプリンタ、カーナビ、スマート家電といった「組み込みシステム」の分野で、Java MEの技術が引き続き利用されるケースがあります。

それぞれのエディションの違いを比較

3つのJavaエディション (Java SE, Java EE, Java ME) の違いを、もう少し具体的に比較してみましょう。

開発対象(デスクトップ/Web/モバイル)の違い

エディションごとの主な開発対象は、明確に分かれています。

  • Java SE (JavaSE):
    • パソコンで動くデスクトップアプリケーション
    • (例:高機能な表計算ソフト、開発者向けのツールなど)
    • また、すべてのJavaエディションの「土台」となります。
  • Java EE (JavaEE) / Jakarta EE:
    • サーバ上で動作する大規模なWebアプリケーション、Webサービス。
    • (例:ネットショッピングサイト、企業の基幹システム、Web APIサーバなど)
  • Java ME (JavaME):
    • リソース (CPU/メモリ) が限られた小型機器、組み込みシステム。
    • (例:IoTデバイス、スマート家電、古い携帯電話のアプリなど)

利用できるAPIやライブラリの違い

「API (Application Programming Interface)」とは、かんたんに言うと「プログラミングで利用できる、便利な機能の集まり(部品)」のことです。エディションごとに、利用できるAPIの範囲が大きく異なります。

  • Java SE:
    • Javaの「標準API」を提供します。
    • 文字列の操作、ファイルの読み書き、日付の計算、かんたんなネットワーク通信、画面表示 (GUI) など、プログラミングに必要な基本的な機能が一通りそろっています。
  • Java EE / Jakarta EE:
    • Java SEのAPIをすべて含んでいます
    • その上で、Web開発に特化した「追加API」を大量に提供します。
    • (例:Webページを動的に作るためのAPI (Servlet/JSP)、データベース連携のためのAPI (JPA)、企業システム向けの高度な機能 (EJB) など)
    • Java SEの「全部入り+Web機能強化版」とイメージすると分かりやすいです。
  • Java ME:
    • Java SEのAPIから、機能を大幅に削ぎ落としています
    • 限られたリソースで動くため、デスクトップ向けの画面表示機能などは含まれません。
    • 小型機器の制御や、かんたんな通信に必要な、最小限のAPIセットだけを提供します。Java SEの「軽量・縮小版」と言えます。

開発環境・実行環境の違い

プログラムを開発する環境や、実際に動かす場所(実行環境)も異なります。

  • Java SE:
    • 開発:個人のパソコン (Windows, Macなど) にJDK (Java Development Kit) という開発キットをインストールして開発します。
    • 実行:開発したアプリは、JRE (Java Runtime Environment) という実行環境がインストールされたパソコン上で動作します。
  • Java EE / Jakarta EE:
    • 開発:Java SEのJDKに加えて、EclipseやIntelliJ IDEAといった高機能な開発ツール (IDE) を使うのが一般的です。
    • 実行:開発したアプリは、「アプリケーションサーバ」と呼ばれる専用のソフトウェア (Tomcat, WildFly, Payaraなど) 上で動かします。Webブラウザなどからの要求を、このサーバが受け付けて処理します。
  • Java ME:
    • 開発:専用の開発ツールや、特定の機器向けのSDK (Software Development Kit) が必要になる場合があります。
    • 実行:対象となる機器(IoTデバイスなど)に組み込まれた、専用のJava実行環境 (KVM, CVMなど) 上で動作します。

現在主流のエディションはどれ?

ここまで3つのエディションを紹介しましたが、「では、今学ぶべき主流のエディションはどれか?」という疑問がわくと思います。この点を理解するために、近年のJavaの状況について少し補足します。

Java EEがJakarta EEに変わった理由

まず知っておくべき重要な変化は、Java EEが「Jakarta EE」に名前を変えたことです。

これは、Javaの開発元であるオラクル社が、Java EEに関する技術仕様や開発プロジェクトを「Eclipse Foundation」という非営利団体へ移管したために起こりました。

技術的な中身や目的は従来のJava EEを引き継いでいます。しかし、オラクル社が持つ「Java」という商標を、移管先が自由に使えなくなりました。

その結果、新しいコミュニティで開発を続けるために「Jakarta EE (ジャカルタ イーイー)」という新しい名前が付けられたのです。

現在、企業向けの大規模Webシステム開発の分野では、このJakarta EEが標準技術として発展を続けています。JavaでWeb開発をめざすなら、JavaEE = Jakarta EEと覚えておくと良いでしょう。

Java SEが開発の中心になっている理由

現在のJava開発において、最も重要で、中心となっているエディションは「Java SE」です。

その理由は大きく2つあります。

すべてのJava技術の「土台」であるから

Jakarta EE (旧Java EE) を使ったWeb開発を行うにしても、Java MEで組み込み開発を行うにしても、必ずJava SEで学ぶ「Javaの基本文法」や「標準API」の知識が必須となります。

また、世界中で最も多くの開発者がいるスマートフォンアプリ「Androidアプリ」の開発も、Java言語(またはKotlin言語)を使いますが、その文法はJava SEがベースになっています。(※厳密にはAndroidはJava MEではなく、Google独自の実行環境とAPIを使います)

どの道に進むにしても、Java SEは避けて通れない「Javaの共通言語」なのです。

Java SEをベースにした強力なフレームワークの登場

もうひとつの大きな理由は、「Spring Framework (スプリング フレームワーク)」の存在です。

Springは、Java SEを土台にして動作する、Webアプリケーション開発のための「フレームワーク(枠組み)」です。

かつては、高機能なWebアプリを作るにはJava EE (Jakarta EE) の機能を使うのが一般的でした。しかし、Java EEは学習コストが高く、設定が複雑という側面もありました。

そこへ登場したSpringは、Java SEの環境さえあれば、Java EEの機能(アプリケーションサーバなど)に頼らなくても、高機能で堅牢なWebアプリケーションを、よりかんたんに開発できる仕組みを提供しました。

この手軽さと機能性の高さからSpringは世界中で爆発的に普及し、現在のJavaによるWeb開発では、Jakarta EEよりも「Java SE + Spring Framework」という組み合わせが主流になっています。

この流れからも、Java SEの重要性がますます高まっていることがわかります。

エディション選びのポイント

それでは、これまでの話をふまえて、あなたがどのJavaエディションを選べばよいか、目的別にポイントをまとめます。

学習目的ならJava SE一択

もしあなたが「これからJavaを学びたい」「プログラミングを学習したい」という目的なら、迷わずJava SE を選んでください。これが最適解です。

理由はくり返しになりますが、Java SEがすべてのJava技術の「基礎」であり「標準」だからです。

Java SEで学ぶ、変数、制御文、メソッド、クラス、オブジェクト指向といった基本的な考え方や、標準APIの使い方を理解しなければ、他のエディションやSpringのようなフレームワークを使いこなすことはできません。

Web開発に進みたい場合でも、まずはJava SEの学習に集中し、Javaプログラミングの土台をしっかりと築くことが、結果として一番の近道になります。

Webシステム開発を目指すならJakarta EE

もしあなたが、金融機関や官公庁、大企業で使われるような、非常に大規模で信頼性が求められるWebシステムの開発にたずさわりたいと考えているなら、「Jakarta EE (旧Java EE)」の知識も必要になります。

こうした「お堅い」システムでは、Springではなく、Jakarta EEの仕様に準拠した昔ながらの開発スタイルが今も現役で使われている現場が少なくないからです。

ただし、学ぶ順番は「Java SEを習得した上で、Jakarta EEの追加機能 (Servlet, JSP, JPAなど) を学ぶ」という流れが一般的です。最初からJakarta EEに飛びつくのはおすすめしません。

(もちろん、前述の通り「Java SE + Spring」を学ぶことでも、Webシステム開発の道はひらけます。むしろ現代はこちらが主流です。)

IoT・組み込み向けならJava ME

もしあなたが、スマート家電、工場のロボット、自動車の制御システム、センサーネットワークといった「IoT」や「組み込みシステム」の分野に強い興味があるなら、「Java ME (JavaME)」が選択肢になります。

ハードウェアに近い部分の制御や、限られたリソースでいかに効率よくプログラムを動かすか、といった専門的な技術や知識を学べます。

ただし、Java SEやJakarta EE (Spring) の分野と比べると、求人や案件の数は限定的であることは認識しておくと良いでしょう。特定の分野で専門性を高めたい場合に検討するエディションと言えます。

まとめ:自分に合ったJavaエディションを選ぼう

最後に、この記事の重要なポイントをまとめます。

それぞれの用途に最適なエディションの整理

Javaのエディションは、開発する対象の「規模」や「環境」に応じて、主に3つに分かれています。

  • Java SE (Standard Edition):
    • 用途: Javaの基礎。デスクトップアプリ開発。
    • 特徴: すべてのJava技術の土台となる「標準版」。
  • Jakarta EE (旧 Java EE - Enterprise Edition):
    • 用途: 大規模Webシステム開発。
    • 特徴: Java SEに、Webサーバ機能などを追加した「全部入り機能強化版」。
  • Java ME (Micro Edition):
    • 用途: IoT機器、家電などの組み込みシステム
    • 特徴: Java SEから機能を削った「小型機器むけ軽量版」。

初心者が最初に学ぶべきエディション

Javaをこれから学ぼうとしている初心者が、最初に学ぶべきエディションは、間違いなく「Java SE」です。

理由は、Java SEがすべてのJavaエディションの「標準」であり、プログラミングの「基礎体力」を身につけるためのエディションだからです。

現在のJava開発の主流である「Java SE + Spring Framework」によるWeb開発に進むにしても、Jakarta EEを使った大規模開発に進むにしても、まずはJava SEの知識がなければスタートラインに立つことすらできません。

「Javaのエディションが多くて、どれを選べばいいかわからない」と悩んでいた方も、これでスッキリしたのではないでしょうか。

あなたの目的が何であれ、Javaの世界への第一歩は「Java SE」を学ぶことから始まります。ぜひ安心して、Java SEの学習をスタートさせてください。

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