名前は難しそうですが、心配いりません。
誕生日プレゼントを届ける配送センターにたとえると、 仕組みがすっと頭に入ってきます。
あるところに、7人のスタッフがいる
配送センターがありました。
このセンターでは、誕生日プレゼントを 送りたい人からの依頼を受けて、 7人のスタッフが順番に手を加えながら 相手の家まで届けています。
1人がすべての作業をこなすのではなく、 「翻訳を担当する人」 「宛先を決める人」 「実際に運ぶ人」というように、 役割がきっちり分かれているのがポイントです。
実は、コンピュータ同士が通信するときも、 これとよく似た仕組みで データが受け渡されています。 その役割分担のルールをまとめたものが OSI参照モデルです。
配送センターの7人と、OSI参照モデルの7つの層
配送センターの7人のスタッフは、 それぞれコンピュータ通信の 「層」と対応しています。
上(第7層)に近いほど「人間にとってわかりやすい情報」を扱い、 下(第1層)に近いほど「実際に物を動かす作業」に近づいていきます。
では、ここで問題です。
「7人もスタッフがいたら、
作業がバラバラにならないの?」
それを防ぐために決められたのが……
OSI参照モデル!
OSI参照モデルとは、通信の役割分担を7段階に整理した設計図です
OSI参照モデルとは、 コンピュータ同士が通信する際の役割分担を、7つの層(レイヤー)に分けて整理した通信モデル です。1980年代に国際標準化機構(ISO)が策定しました。
配送センターの例え話をそのまま技術用語に置き換えると、 次のような対応関係になります。
| 層 | 名称 | 代表的な技術・プロトコル |
|---|---|---|
| 第7層 | アプリケーション層 | HTTP、SMTP、DNS |
| 第6層 | プレゼンテーション層 | SSL/TLS、文字コード変換 |
| 第5層 | セッション層 | NetBIOS、通信の開始・終了管理 |
| 第4層 | トランスポート層 | TCP、UDP |
| 第3層 | ネットワーク層 | IP、ルーティング |
| 第2層 | データリンク層 | Ethernet、MACアドレス、Wi-Fi |
| 第1層 | 物理層 | LANケーブル、光ファイバー、電波 |
普段よく使うWebサイトの閲覧は、 HTTPというアプリケーション層のプロトコルが土台にあり、 その下にある6つの層が支えることで初めて成立しています。
役割を分けておくことで、 ある層の技術(たとえばWi-Fiから有線LANへの変更)が 別の層の仕組みに影響を与えにくくなります。 配送センターでスタッフの担当を分けておけば、 1人のやり方を変えても他の人の作業に響きにくいのと同じ考え方です。
プレゼントに包み紙が増えていく「カプセル化」
配送センターでは、スタッフが必要に応じて 自分の担当の情報を書いた紙(ヘッダー)を プレゼントに1枚ずつ足していきます。
この「情報を書いた紙を足していく」処理を、 通信の世界ではカプセル化と呼びます。
(データ)
渡し方
受け取る側では逆の流れで、届いた荷物から 自分の担当の紙を1枚ずつはがしながら中身を確認していきます。 これを非カプセル化といいます。
送信側は第7層から第1層に向かって紙を足しながら送り、 受信側は第1層から第7層に向かって紙をはがしながら受け取ります。
OSI参照モデルはこんな場面で役に立つ
通信トラブルの切り分け
「ネットにつながらない」というトラブルが起きたとき、 「ケーブルは刺さっているか(第1層)」 「IPアドレスは取得できているか(第3層)」 「Webサイト側の設定に問題はないか(第7層)」 というように、層ごとに原因を絞り込んでいきます。
資格試験の頻出テーマ
基本情報技術者試験やCCNAなどのIT系資格では、 各層の名称と代表的なプロトコルを対応づけて覚える問題が よく出題されます。
ふだんのWeb閲覧の裏側
スマートフォンでニュースサイトを開くだけの動作の裏側でも、 Wi-Fiの電波(第1層)からHTTP通信(第7層)まで、 7つの層が同時に働いています。
身近な機器でOSI参照モデルの一部を確認してみよう
7つの層すべてを一度に見ることはできませんが、 いくつかの層は手元の機器から確認できます。
ネットワーク層(第3層)を見る
Windowsならコマンドプロンプトで ipconfig、 Macならターミナルで ifconfig と入力すると、自分のIPアドレスを確認できます。 表示された数字がどこまでネットワークの住所なのかは、サブネットマスクが教えてくれます。
アプリケーション層(第7層)を見る
Webブラウザの開発者ツール(Chromeなら「検証」→「Network」タブ)を開くと、 Webサイトとやり取りしているHTTPの通信内容を確認できます。 URLが「https」から始まるサイトでは、この通信をTLS(旧称SSL)が暗号化して守っています。
よくある質問
コンピュータ同士の通信を 7つの役割(層)に分けて整理した設計図 のことです。配送センターの7人のスタッフの役割分担と同じ考え方です。
OSI参照モデルは7層、 実際のインターネット通信で広く使われている TCP/IPモデルは4層に分かれています。 TCP/IPモデルはOSI参照モデルの考え方を土台に、 実務向けに簡略化されたものです。
層を細かく分けておくことで、 1つの層の技術を入れ替えても他の層に影響が出にくくなります。 Wi-Fiから有線LANに変えても、Webサイトの見え方が変わらないのはこのおかげです。
データを送るときに、各層が必要に応じて自分の担当情報(ヘッダー)を 1枚ずつ付け足していく処理のことです。 受け取る側では逆の順番で1枚ずつはがしていきます。
第3層(ネットワーク層)は 離れた場所まで届けるための住所(IPアドレス) を扱い、第2層(データリンク層)は すぐ隣の機器までの受け渡し(MACアドレス) を扱います。
各層の名称の順番、代表的なプロトコル(HTTP・TCP・IPなど)が どの層に属するかを対応づけて覚えているかが問われやすい傾向にあります。
おさらい
OSI参照モデルは、名前だけ聞くと難しそうに感じます。
ですが、配送センターの7人のスタッフにたとえると、 わかりやすく整理できます。
- OSI参照モデル =通信の役割分担を7層に整理した設計図
- 第7層〜第5層 =手紙の中身・翻訳・やり取りの管理(アプリケーション〜セッション層)
- 第4層 =荷物の仕分けと確認(トランスポート層)
- 第3層〜第1層 =宛先決め・隣家への受け渡し・実際に運ぶ作業(ネットワーク〜物理層)
- 層を分けることで、1つの技術を変えても他の層に影響が出にくい
- 通信トラブルの切り分けや資格試験の頻出テーマとしても登場する
OSI参照モデル
=「7人のスタッフの役割分担」
で通信を整理する設計図!
次に
「OSI参照モデル」
という言葉を見つけたら、
🎁 プレゼント
+
📦 7人の配送スタッフ
+
📄 増えていく包み紙
を思い出してみてください。
それだけで、 ぐっと理解しやすくなります。
7人のリレーでプレゼントが届くまで
送る側は上から下へ紙を足し、受け取る側は下から上へはがします。
※紙の種類は、この記事の「カプセル化」の説明に出てくる4枚(翻訳情報・通し番号・宛先住所・隣家までの渡し方)で表しています。